ちょっと昔のことを振り返って。
自分はいま当たり前のようにWEBデザイナーとして会社で働いていますが、実を言えばほんの数年前まではWEBどころかデザインの「デ」の字も知らないど素人でした。大学も特にデザインを専攻する学科だったわけでもなく、デザインと正反対とも言われる「現代アート」を油画専攻で、まさに0からの出発。
そこから失敗と遠回りを繰り返して「仕事」としてデザインをするようになった、そんな超ド級のど素人だった自分がデザイナーになるまでのお話。
自分の今の仕事をするきっかけになったことを振り返ると共に、これからウェブをやりたい人、やってみたいひと、まさに今勉強中の人、などなど。ウェブもデザインもきちんとした場所で学んでないし独学だけど良いのかなあと不安に思っている方の参考になれば幸いです。
《 目次 》
1.デザインなにそれ美味しいの?油絵を描いていた大学1年生
2.HTMLとCSSでWEBの基礎を磨く
3.かっこいいサイトが作りたい!デザインを学ぶ
4.外部と関わりを持つ
5.スキルは現場で磨け!制作会社でアルバイト
6.あとがき
デザインなにそれ美味しいの?油絵を描いていた大学1年生
まず、自分は油画専攻のなんてことない美大生でした。大学に入学してからはぼーっと絵を描いていました。「美大」と聞くと「美大生ならデザインセンスも良いに決まってるじゃん!」と思うかもしれませんが、油画科生を始め、現代アートを主に扱うファイン系の学生は全くもってデザインなんて何も知りません。フォント?なにそれ美味しいの?って感じでデッサンのために鉛筆を削り、絵の具をといてキャンバスに向かう。PCなんて資料探しにネットサーフィンに使うぐらいです。USBを知らない同学科の友人がいたのを今でもよく覚えています。
そんななんてことない平凡な日々の中、当時に教職を取るために出ていた「情報工学演習」という授業でWEBに出会います。
授業の内容は超基礎的なもので、MACの使い方から始まりあとはphotoshopやillustlatorの基礎を学んだりする授業でした。ちなみにこの時点でMACに触るのがほぼ始めて。根っからのオタクだったのでwindowsでphotoshopはデジタル絵を描くのにちょっとは使っていましたが、当時イラストレーターも触るのは始めて。色々新鮮だったのは今でもよく覚えています。そしてその一環でHTMLの講義もその中にあり、これが一番最初のきちんとしたなWEBとの関わりです。当時の自分のレベル感でいうと、
「</br>って書くと改行するんだよ!(ドヤァ)」
「<link>って知ってる!?(ドヤァ)」
と、ホームページビルダーで遊んでいた高校生の頃の知識を無駄にひけらかしてた、今思うと顔から火が出るような恥ずかしい野郎でした(笑)
しかしその授業で初めて、HTMLというウェブとしての概念を知り、ついでにCSSなんてものがあるらしいと先生から入れ知恵をもらった私は「なんか面白そうだし文字がいっぱいでかっこいい!」ぐらいの気持ちで参考本を買いに行きました。
2.HTMLとCSSで基礎を磨く
それから大学2年生になるまでの春休みの間、何かに取り憑かれたかのようにHTMLとCSSの基礎本を舐め回すようにやっていました、テキストエディタでちみちみと。
勉強のために最初に買ったのが本(まだ売ってました驚き…)
これを必死こいて覚えてテキストエディタで試して、ってのを春休み中ずっと繰り返していました。
あとCSSの本やらレイアウトの本やら、当時はまだまだxhtml,CSS2が主流だったのでその手の本を買ったり。
本に大枚叩いたのでお金もなかったので春休み中遊びにも行かず、PCの前で引きこもり。5年以上前なので探しても見つからない本もあったので全ては載せられませんが、3ヶ月で6冊ほどいろんな本を読み漁っていた気がします。どの本がいいかもよくわからず手当たり次第買っていたので内容も被っていたこともあったし決して効率は良くなかったのですが、何度も基礎を繰り返したので一番身にはなったなあと今でも思います。
3.かっこいいサイトが作りたい!デザインを学ぶ
雪が溶けて大学二年生になったころ…
なんだろう、マークアップは着々とに身につけてきたけど…
なんかダサい…( ˘•ω•˘ )
そう、この段階に来てようやく自分は気づきました。どんなにマークアップ覚えてもデザイン出来なければかっこいいサイトは作れないということを(笑)
この頃からAppleのサイトを見たり、既存サイトを真似っこするという勉強の仕方を始めました。しかしまたここで気づきます、「見て盗む」の限界が結構早くきたことを。今思えば当たり前なのですが、デザインの根っこを知らないのに表層のかっこよさだけに釣られてツギハギのデザインばかりしていたのだから無理もありません。
そこで本腰を入れて、デザインってなんなのかって勉強を始めました。
まずはやっぱり、マークアップで散々お世話になった本を購入。
加えて大学内でデザイン科の存在は知っていたので、グラフィックデザイン学科や情報デザイン学科の授業に潜り込みを始めます。フォントの授業や色彩の授業、グラフィックデザインの歴史、はたまたメディアアートやarduinoに手出したりと学校で受けれる恩恵を最大限に活用しました(そうだって授業はタダだから!)
そのころから片鱗ではありますがデザインの意味とか、意図とか、表面的だけでなく根幹の部分を少しずつ感じるようになりWEBと合わせてより興味が強くなっていました。
そのあとはIllustlatorの小技本やPhotoshopのお肌ツルツル加工技術とか、興味の赴くままにこれまた本ベースで学んでいました。
この辺は趣味も兼ねて好き勝手に素材集買ったりして遊んでいました(笑)
4.外部と関わりを持つ
大学2年の中頃、ひょんなことから人に誘われて大学外の人とWEBサービスを作ることになりました。営業してくれる代表と、ずっとPHPいじってるエンジニアと、デザインする自分。
6人ぐらいで小さいオフィスを借りてWEB中心のベンチャー(っぽい)ことをしてました。その頃の自分はマネタイズのことも、営業もクライアント業務のことも何もわからず、ましてやサーバーとか(たぶん言葉も知らなかった)もやってくれるザ・エンジニアって人種に初めてで。一番の衝撃は相手が「何言ってるかわからない」ってことでした。
ビシネスの話も、プログラミングの話もわからない。あと、そもそも自分がやっていたことの未熟さとかビシビシ感じて、世の中にはすごい人も変な人もいっぱい居るって気付かされました。まさに井戸の中の蛙が大草原に放り出されたような気分で。と同時に、必死にデザインやってても共通言語がなければ伝わらないしそもそもチームとして成り立たない。
ただデザインやってるだけじゃ良いものなんて作れない
ってことを痛感ました。
そこから浅く広くいろんな知識をつけようと、これまた本を買う日々が始まりました。
あとはやっぱり苦手ながらプログラミングのことは囓ろうと必死でした。
jsやphpは本当に苦手ど直球で、今まで自分のやってたことはプログラミングではなくてマークアップって分野だったんだって泣きを見たりしながらこれまた本を買う日々。
職人のエンジニアには到底及ばない技術力だったけど、基本をかじってるだけで話がスムーズだったりお互いのフォローができるようになったのは現場でビシビシ感じました。それからもデザイン以外にも興味を持つことの重要さは忘れないように今でも心がけています。
なんだかんだその集団もフェードアウトしましたが、その頃からやっぱり現場で学ぶのが一番だと感じていたのでとりあえず個人受託を始めました。学生ながらなんちゃってのWEB屋っぽいことを始めたのです。安かったですが、もちろんお金も貰って。
基本的には知り合いのWEBを作るのが多かったのですが、時には大人に騙されて良いように使われたり(笑)報酬ウソつかれたりして嫌な思いをしました。なのでそれに対抗していやらしい契約書の書き方とか、更新の契約とか報酬の交渉とかも覚えました(笑)
あとその頃にCMSもクライアントの更新のために必要になってきてWordPressを始めたり(当時 World Pressだと思って恥ずかしい思いをしました…笑)
あとはHTML5やCSS3も本格的に出てきたのでその本買ったり。
とにかく困ったら本屋へ、のスタンスでした。
5.スキルは現場で磨け!制作会社でアルバイト
大学三年あたりから、大学の先輩の紹介で都内の某WEBの制作会社で週3フルタイムでアルバイトさせてもらうようになりました。綺麗なオフィスで、デザインを仕事として扱うプロの方々にたくさん出会い、大きな影響や刺激をこれでもか!というくらい貰いました。
この頃に初めて社員の先輩から「ここ、1pxずれてるから修正してね」って言われ。またまたここで自分のデザインの未熟さとか、ウェブのデザインの裏側の面白さとかを真横で体験しました。今まではどちらかというとマークアップの方が興味が強かったのですが、デザインそのものに興味が一段と湧いたのもこの頃から。ブランディングとかにも興味を持ち、色んな人のデザイン書を読んだりしました。
ウジトモコさんと西澤明洋さんには今でもすごく影響を受けるデザイナーです。
その制作会社でデザインに本格的にハマり、2年半ほどアルバイトしながら自主制作を続けるという生活を繰り返しました。そして大学の終わりに悩みに悩みぬいた就活を経て今の会社でWEBサービスに関わるデザイナーとして就職となりました。
あとがき
今振り返ってみると、初めてHTMLを触ったあの頃は「これを将来仕事にしよう」とか、「就職に使えるから」とかでもなくただただ目の前のことが面白くて難しくて膨大で。興味の赴くままに手を出して、気が付いたらデザイナーとしてお仕事するようになった。という感覚です。
そんな今までを振り返って、お伝えしたいことは2つ。
①ほとんどのことは本で学べる。
この記事でも実際に私が使用した参考書を上げまくりましたが、私の知識のほとんどが本から来ています。今でこそWEBで直接調べることの方が多いですが、やっぱり本で基礎を理解したからこそ必要なものをネットで探せるようになったのだと思います。本で基礎をつける、あとはひたすらに手を動かす。ずっとこの2つを繰り返せば大体何でも出来る、シンプルな私の持論です。
「WEBやりたいけど独学だし…」
「デザイン勉強してないし…」
「専門学校行ってないし…」
とか悩んでる暇があるなら、今すぐ本を買いに行きましょう。
そしてわからないを潰しましょう、分からないを分かるまで勉強する。WEB業界で先駆者として走った先人のプロのデザイナーの方々の貪欲な知識欲は今でも度肝を抜かれます。
②あとは現場で覚える
ぶっちゃけあとは現場に入ったほうが早いです。アルバイトでも派遣でも受託でもなんでもいいです。自分の作ったものにお金が発生するようになって一気に意識が変わったのは自分の中でも大きなターニングポイントでした。もちろんそもそもの基礎力がないと現場で雇ってももらえないので、自分で勉強して基礎がついてるの前提です。
独学だと1年かかることが現場だと数ヶ月で身につくこともザラにあります。
最後に、学部も領域も何もかも飛び越えてこの業界で来た自分もまだまだ勉強の真っ最中ですが、終わりのないそこがまたWEBの面白いところでもあります。出身の縛りもなく、とにかくスキル重視で独学でもやれば出来るっていう敷居の低さはWEBのいいところ。ただ敷居の低い分泥沼のように奥の深い世界、デザインのことだけでなくいろんな知識を幅広く取り入れたのは今でも強みになっていると思いますが未だにゴールは全く見えません(笑)
今となってはWEBの奥深いところも好きなのですが。
そんなこんなで長々と書いてしまいましたが、私は決して頭の切れる方でもないし飲み込みも早くはない普通の凡人です。でも独学から始めてここまで来たっていう自負はあります。WEBにちょっとでも興味を持っている人、つまずいている人、悩んでいる人へ。
「悩むぐらいなら手を動かしたほうがいい!」
と雑なエールを込めて(笑)
そんな絵描きのデザイナーのお話でした、おしまい。
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