UX Sketch #13 UXではないUIUXの世界 | MTL勉強会レポート

「坊主覚えときな、くそまずいガムを売るならどんなにUXデザインが素晴らしくても意味ないぞ」

参照:http://l-orem.com/ux-is-ui/


こんにちは、スワンです( 'ω')

冒頭からいきなりスタートダッシュかましましたが、そんな強烈な言葉尻から始まった今回のUX Sketchのレポートです(まとめるの時間かかってすみません...)


さて、今回のUX Sketchで取り上げたのは世間で再三話題に上がっている「UIUX」について。

様々なTipsがで構成された勉強会だったので、気になった話題をピックアップして紹介します。



登壇者


鷲山優作 / サイバーエージェント

UIUX Lab代表 佐藤ねじ / アートディレクター/プランナー

葛本尊広 / 株式会社ムーヴ 代表取締役 ディレクター 

松川進 / UX Sketch



UIとUXは違う問題

参照:https://getmeed.com/ldzera/stories/ui-vs-ux-design-whats-the-difference


耳にタコができるほど業界で話題になっている件ですね(笑)

UIとはUXを構成する一部であり、「UI/UX」のように横並びに表記するものではないとすら突っ込まれることも増えたと感じる人も多いかと思います。それくらいこの業界ではUIとUXに対する意識が高まり、議論が熱くなってきていると私自身も身をもって体感しています。


ただ、合わせて話をすることが多いから勘違いされやすいのかなーとも思いますし、伝える側の問題でもあった気がしていて。正直わかってれば/ズレを訂正できればそんなチクチク話さなくてもいいのに、と私は思ってます( 'ω')笑



 募集職種にある「UI/UXデザイナー」の怖さ


UI/UXという言葉が世間で都合よく使われ、乱用されているのをデザイナーなら一度は感じたことがあると思います。その中でも話題を呼んだこのワード。


募集職種:UI/UXデザイナー


UI/UXという表記をしている時点でまず「UIとUXの違いも分かっていない人」がなんとなくデザイナーを募集をしているという見方をする人すら出てきている昨今。一時期話題にもなったこの記事も有名ですね。

UI/UX デザイナーを雇わない方がいい理由 | root blog

この記事はUsabilityHourの創業者クレイグ・モリソ氏のブログ記事を公式に許可をいただき翻訳したものです。 最近よく耳にするUXデザイナーとUIデザイナーの何が違うのかについて触れられています。 UX/UIと言う言葉の意味を理解できる参考記事としてご紹介致します。 ================ 今回は UsabilityHour.com の創設者である、クレイグ・モリソ氏によるゲストポストをお届けします。 UXデザイナーとUIデザイナーは完全に違う役割を果たすから、一人の人間に両方の仕事を任すべきじゃない。 ふー、ついに言ってしまいました! みなさん言いたいことはあるかと思いますが、その怒りをぶつける前に、まず説明させてください。 この2年間、私は二つのスタートアップでリード UX/UIデザイナーとして働いてきました。 また、どちらのポジションにいるときも多くのインタビューを受けしました。 次第に、どういう現象が起きているのかがようやくはっきりと見えてきました。 世間、特にスタートアップの創設者は、ユーザーエクスペリエンス・デザインが、本質的に何なのかを理解していないのです。もちろん、重要だということは把握していますが。 使いやすいインターフェイスを持つというのは、デジタルプロダクトを売り上げるのに必要不可欠だということもわかっています。使えない商品なんて、誰も買いませんからね。 それで彼らは、求人募集の際に、UXとUIの肩書きを一緒にすることで、ユーザーエクスペリエンスまでも考慮してくれるような、理想的なユーザーインターフェイス・デザイナーを惹きつけることができると期待しているのです。 しかしここで言いたいのは、良いユーザーインターフェイス・デザイナーは、そもそも常にデザインする対象のUXをきちんと考えているということです。 とは言え、ユーザー・エクスペリエンス・デザイナーとしての義務を全て背負う必要もなければ、そのような資格もないのです。 そして同様にUXデザイナーも、インターフェイスをデザインすることを期待されるべきではありません。 使えない商品なんて、誰も買いません。 じゃあ、もし両方のスキルを持ち合わせた人が現れたとしたら、二つの役割を担ってもらうために雇うべきなのでしょうか?個人的に、これには「No」だと言いたい。

root blog

要約すると、大体この手の募集をかけているところが言いたいのはこういうこと。

「いい感じのイケてるUI作れて、設計のことも理解しつつ、プロダクトの全体の管理や改善も出来ていい感じのUXを盛り込めるようなデザイナーが欲しいです!」


.................レベル高ッ!!!

そんなデザイナーのみなさんのツッコミが目に浮かぶようです。そんな人が世の中で希少種だということ、仮にいるとしても相当な給料をもらえていて現場でもこの人がいないとチームにとっても会社にとってもやばいって言われるくらいめちゃくちゃ頼られるようなスーパーマンだってことを意外と理解されにくいのかもしれません。


しかも現実問題、実業務においてUIとUXを一人で全部任されるなんてなかなかできることじゃないのも忘れてはいけません。やろうと思えばできないこともないかもしれないです、ただそのボリュームは想像しているよりも何倍にも大きいし、負担分が大きいということは疎かになる部分が出てくるということ。予算とかもろもろ可能なら、やはり分担した方が高品質のものが作れると思います。

もちろんそれに対して周りが議論できるレベルであったりすることはモノづくりにおいて大事なのでUIやUXを一人のプロフェッショナルにぶん投げせずみんなのものであるといいですよね。



UIやUXってどれくらい重要? 


「坊主覚えときな、くそまずいガムを売るならどんなにUXデザインが素晴らしくても意味ないぞ」 


冒頭でも紹介しましたこのフレーズ。

あるかないであれば、素晴らしいUIやUXがあったほうがもちろんいい。それは聞けば誰からでも帰ってくる言葉です。ただ、じゃあユーザーへの提供するものそのものが「くそまずいガム」であるなら?それはどれほど素晴らしいUIやUXを設計したとしてもそれは全く無価値であるというお話。


また個人的に思うのは、UIやUXの役割はプロダクトの価値を7、8割の出来を9、10割へと押し上げるものだということ。決してUIやUX自体は売り物になり得なくあくまで添え物であり、メインを引き立たせるもの/魅力的になる手助けをするもの。そんな存在であるべきだと思っていますしやはり面的なデザインと近しいと思います。



空港の手荷物受付に見るUIとUXの関係

UIの改悪がUXを改善することもある

こちらもUIUX界隈では話題になった例の一つ。


米国ヒューストン空港では、以前より手荷物引渡所(Baggage Claim)の待ち時間が長いという顧客からのクレームに晒されてきた。空港は増え続ける不平に対処するために、スタッフを増員することにより、平均待ち時間を8分までに短縮させることに成功したが、それでも苦情の数は減らなかった。 そこで、空港がとった方法は、「手荷物引渡所までの距離を延ばし、客に空港内で長い距離を歩かせるようにした」というものだ。これにより苦情はほぼ0になった。


これについては会場で「これは改悪ではなく、改善である」との結論を出ました。

これはこの問題で解決したいのは「早く荷物を受け取る」ことではなく、「ストレスなく荷物を受け取る」という目的に対してのアプローチに対する正解だからということ。 逆に言うと「荷物がお客様に届く速さ」などを指標にするのであればこれはUIはもちろんUXでも改悪になると言えます。また身体障害を持っている方からすると純粋に距離が伸びるのは苦痛にもなりえますし、改めてユーザーや課題と密接に関わっていること、それで正解の方向すら変わることを再認識しました。



思い込みでUXを作るのはやめよう。


UXってだいたい思い込みで進めてしまうことが多いという話。みんなユーザーのことを考えているようで、実は自分のバックグラウンドの中でしか話や判断を下せないことが多い。でもそれって妄想の世界になってしまうし本当のユーザーの声も聞こえてこない。なんならビジネス的なユーザーアンケートにもインターネットにも本当の声なんてなく、もっと生々しい声や体験をするべきだ!という。


(例えば...)

  • 当事者の話を聞く=疑似体験
  • 外に出て対象ユーザーの人間観察する
  • 自分で実際に対象ユーザーと同じ体験/習慣をやってみる
  • 対象ユーザーと同じ気持ちになれるようなことをする/場所に行く


これらだけでもかなりユーザーの心理に、少なくとも寄り添うことはできますね。ポイントはデザイナーがやりがちなインプットのため、アプリのUIを流し見したりサービスの全容を軽くチェックするような感じではなく、ハマるまでやってみる。1週間ヘビーユーザーになってみる。生のユーザーとコミュニケーションしてみるなどなどネカマでも何でもいいからなりきって/自分が全力で使うなら といったパターンを決めて実感することをお勧めします。


実は私も実際に若めのライトユーザーの行動や日常を知りたくて原宿や渋谷のカフェに繰り出して延々に人を見続けたり、(捕まらない程度に)隣の席の人のスマホを覗き見し続けたり、自撮りの気持ちを知りたくて持った画像をネットでこっそり晒したしたこともありました( ˘ω˘ )笑


でもそういったことを経て感じる経験値や、1ユーザーとして感じたの気持ちは「なんとなく」で考えていた時よりずっとずっと自信を持って参考にできました。改めてリアルを知るってすごく大事だと感じましたし、サービス設計やユーザーテストだけだとその人の生活とか、周りの人との関係とか、バックグラウンドのことを全く考えないでデザインしちゃったりするわけで。見もしない、聞きもしない人のことを「こう感じるだろう」というのはまさに絵に描いた餅であり押し付けがましいのもいいとこだなあと。当事者になれなくても、近付こうと努力する、同じ境遇になってみることを怠っていては良いUXも良いUIもクソもないなあと反省しました。



デザイナーよ、外へ出ろ! 


まず、コミュ症はUXデザイナーに向いてない  。

日本ではデザイナーはよく内向的だとか引っ込み思案、話し下手だなんてよく言われますが、そんなこと言ってる場合じゃない!とのお話(笑)UIなら目に見えるものを見せれるからまだしも、UXとなるとその必要性や意図、仮説の検証、開発や経営全体の巻き込みなどなど...上げれば山のように出てくるこれらの課題をクリアする上でコミュニケーション能力は必須と言って良いほど重要なデザイナーの1スキルとなってきています。


立場的にも間に立つことも多い職種ですし、その中で正しく進む旗振りになるためにも周りを巻き込むためにもやはり言語化する能力や説得する技術、全体を俯瞰する能力なども欲しいところですね、うんこう書き出してみると求められる人物像がどんどんハイスペックになっていくので寒気すらします...(笑)


そんな急に喋ったり発表したり舵きりできないよ!って方ももちろんいると思うのですがなんの目新しさもないですがやはり私はブログを書くことをお勧めします( 'ω')b

よくよく周りを見ると、エンジニアブログってよく見るんですがデザイナーのブログって探してみるとすごく少ないんですよね。以前にこのブログでも書きましたが、自分自身も(あんまり周りに認めてもらえないですが、笑)けっこう話下手だったり、前に出ることをためらいがちな人間ではあるのですができるだけ変わっていこうと思ってから始めたことの一つがブログです。本当にブログを始めてから良い効果ばかりだったのでデザイナーの方には全力で文字を書くことを勧めます(笑)


書くことは自分への責任が生まれるし、見られる意識、伝える意識、反応がダイレクトに伝わってきます。最初の数記事を上げるのは本当にドキドキするし怒られないか、無視されないかとそわそわしてしまいますがそんな考えずぽんぽん出しましょう。大丈夫、そんなみんな誰かに興味ないので(笑)よっぽどのことがないと炎上なんてしないし最初は狙って書かないとそんな記事も書けないのでバンバン書きましょう。だんだん見られる/発信する感覚が研ぎ澄まされつつもメンタルの面で肝が据わってきてまさにコミュニケーションの土台作りにもってこいだと思います。




以上、ざっくばらんにUX Sketchの勉強会レポートでした。


改めてUIやUXの芯の部分がデザイナーやエンジニアなどの間で正しい概念で浸透しつつはありますが、そこから実際の業務や仕事に取り入れるためにももう一段階下の一般の人までUXを正しく伝えていくフェーズに突入していると感じました。結局は技術者だけでは解決できない大きな輪の中の話であるので、それを機能させる/実行するためにも「UXを大衆に正しく伝える/広げる」ことが出来るような人になっていかなければいけないですね。


それではまた( 'ω')b


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